外資の採用フリーズ(Hiring Freeze)とは何か
こんにちは、外資元人事の豊(ゆたか)です。
外資系へ転職をしようと頑張って活動をし面接も全てパスして、後はオファーレターにサインするだけの最終段階になって、企業側から採用がフリーズになった為に今回は採用する事が出来なくなりました!という奈落の底へ突き落とされるような連絡を貰った事がある人はいませんか?
恐らく少なくない数で採用フリーズ(Hiring Freeze)の洗礼を受けた人がいると思います。
そんな時に頭に浮かぶのが
- 採用フリーズって何?
- 採用フリーズって言っているけど本当は別の理由があるのでは?
等の疑問と企業への不信感だと思います。
採用フリーズとは、採用活動を凍結する事です。
つまり、企業として採用活動をストップするので、入社したい人がいても採用出来ないという意味です。候補者からしてみると最終面接まで行ったのに採用をフリーズする事なんてあるの?本当は他の候補者がいたりとか別の理由があるのでは?と疑いたくなるのももっともです。
しかし外資系企業では突然の採用フリーズはよくあり、社員からすると驚く事ではありません。
採用フリーズが発生する理由
採用がフリーズする理由は幾つかありますが、主なところでは下記3つでしょうか。
- 業績の悪化
- 期の変わり目で利益の推移を見る
- HC(ヘッドカウントの失効)
業績の悪化
業績が予想より悪く、新しい人を雇い入れるだけの予算がないという分かりやすい理由です。一部門の採用がストップする場合と会社全体との両方あります。会社全体で新規の採用を見直す場合は会社の将来性にも不安を覚えるかもしれませんが、一時的に採用を凍結する事は大手の外資でもある事なので、暫く様子を見てみるといいと思います。
本当に会社が良くない状態の場合は大規模なリストラや部門縮小等のニュースが少しすると出てくるので、一旦その会社への転職を再検討する勇気も必要です。リーマンショック等の世界的な金融危機の時には多くの企業が採用を凍結しました。
業績の悪化に伴い大規模な組織の構造改革に取り組んでいる時は社内は少なからず混乱している状態になります。自分の所属する組織やレポートラインが頻繁に変わったり、時にはポジション自体がなくなってしまう場合もあります。
志望企業の組織変革が上手くいき業績が再び上向いた時に、まだ自分にとって魅力的な企業であれば再度応募してみると以前との違いも分かり面白いと思います。
期の変わり目で利益の推移を見る
期初の売上や利益の目標と実際の数字の推移を比較した時に、実際の進捗値が予想を下回っているか微妙な時に一時的に採用のフリーズや採用をスローダウンさせる事があります。中途採用は年間を通して行っているので、業績や経済全体の状況や今後の先行きを見ながら採用数を調整しやすい特徴があります。
業績の推移を見て問題ないと判断すれば、直ぐに採用フリーズは解除されるので企業もしくは転職をサポートしてもらっている人材紹介会社(エージェント)からの連絡を待ちましょう。
採用がスローダウンしている時に一番困るのが他の企業の選考も受けている場合です。多くの企業はオファーを提示してから候補者が受諾するまで1-2週間程度は待ってくれると思いますが、中途採用は即戦力の採用である以上、あまり待たせると入社意志を疑われてオファーをキャンセルされる事も普通です。
入社志望度1位の企業の採用が止まってしまった場合は、エージェントもしくは採用部門へ直接相談をし、採用が再スタートする見込みがあるか否か、また再スタートするとしたらいつ頃になるかを確認した上で、待ち続けるか、他の企業の優先順位を高めるかを判断しましょう。
HC(ヘッドカウントの失効)
業績の悪化で採用がストップし新規のヘッドカウントは全て凍結という理由以外で、ヘッドカウントが無くなったので採用が出来なくなるケースがあります。
外資では新規のヘッドカウントの承認を得る事は簡単ではありません。その為、採用の責任者であるHiring Managerはヘッドカウントを無駄にしないよう良い人材を採用しようと必死です。
中途採用はスピードが求められます。採用活動を開始して長い時間が経っても理想の人材が採用出来なかった時には、同一部門内でAチームに与えたヘッドカウントをBチームに割り振り直す場合があります。
いつまで待っても採用出来ないのであれば、貴重なヘッドカウントの無駄になってしまうので、より採用見込みが高い別チームへと移してしまうのです。部門をまたいでのヘッドカウントの移動は難しいですが、同じ部門でチームだけ違う時等は比較的よく見る手法です。
当然Aチームのポジションで選考を受けていた人は採用されるチャンスが無くなります。
その他にも採用予定していたポジション自体が無くなったので採用は不可能になりましたというのもヘッドカウントの失効という意味では同じです。
外資への転職活動で気をつける事!オファーレターへサインするまでは退職意思を示さない
採用がフリーズもしくはスローダウンする3つの理由を説明しましたが、その他の理由でも採用がストップする事もあります。
選考を受けている候補者として一番大事な点は正式なオファーレターが発行されて、自分がサインをするまでは現職への退職意志を伝えない事です。選考中の他企業へも辞退の旨を伝えないという事も大事です。
正式にサインをするまではお互いに何の契約も発生していません。口頭でオファーを伝えられて現職へ退社の意向を伝えてしまった後に採用がフリーズになってしまったという笑えない話もあります。
採用確実ですよ、年収は幾らで確定ですよと何度言われても正式な書面を確認するまでは安心は禁物です。
中には書面での提示前に早く入社して欲しいので、今から退職交渉の準備を進めて下さいと無責任なお願いをする人もいるかも知れませんが、会社発行のオファーレターが出るまでは我慢して待ちましょう。
以上、外資系企業で採用フリーズが起きる3つの理由と転職する時の注意点でした。
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