選考

外資の選考を受ける前にHiring Managerについて良く知ろう

投稿日:2017年3月13日 更新日:

Hiring Managerの意味とは

こんにちは、外資元人事の豊(ゆたか)です。

Hiring Managerという言葉をが聞いた事ありますか?外資系企業の採用でのキーパーソンとなるのがHiring Managerです。日経企業と違い外資系企業の人事・採用部門には人事権、採用の決裁権がありません。

では選考の中で良い人材が現れた時に誰が採用を決定するのか、それはHiring Managerです。Hiringの意味は雇用する、雇うという意味なので言葉だけみると採用に関連した人事系のポジションと初めて聞く時は思いがちですが人事とは関係ありません。

Hiring Managerとは例えばAというポジションの採用を進める時の事実上の採用責任者となります。通常はAポジションの上司がHiring Managerです。※入社後にAポジションで雇用された社員がHiring Managerへ直接レポートする関係

つまりある部門で新しい人材を採用したい時は、その部門長がHiring Managerであり、採用の責任者となるわけです。

外資系企業ではHiringという言葉を良く使いいます。選考プロセスはHiring Processとなり、ある部門が大々的に新規人材の募集を進めている時はWe are hiring nowと会社の他部門へもアピールをして、良い人材の社員紹介の協力を依頼します。

Hiring Managerの大きな役割は下記となります。

  1. Headcountの承認を得る
  2. Hiring Processを開始するにあたり採用部門への依頼
  3. 面接官の決定
  4. 候補者の選定
  5. オファー条件の確定
  6. 入社までのフォローアップ

順に説明します。

1.Headcountの承認を得る

Headcount=ヘッドカウントとは社員数の事です。外資では部門、部署単位でヘッドカウントが決まっていて、採用出来る人数も限られています。

通常は期初に通年のヘッドカウントが決まる為、前期末から期初にかけて各部門は業務を進める為に必要なヘッドカウントを獲得する為に積極的に動きます。

本社承認となる為、現在は人が足りなくて困っている、新しい受注があり新たに人を雇わないと業務が回らない等の理由を挙げて、本社へと働きかけを強めます。人が少なく各社員への業務負担が大きいチームでは新規ヘッドカウントの獲得の有無が日常業務を大きく左右するために必死です。

Hiring Managerの役割は部門の責任者としてまずは目標達成及び業務を円滑に進める為に必要なヘッドカウントを確保する事から始まります。業績が大きく伸びている会社であれば、新規のヘッドカウントを取る事もそこまで難しくないですが、業績が横ばいや微増程度の会社では本社から認めてもらう事は容易ではありません。

ヘッドカウントの増加=固定費の増加ですので、本当に必要か否かを検証され承認までに数ヶ月かかる事も珍しくありません。既存社員退職に伴う人材補充の場合は本社の理解を得る事は新規より簡単です。

ヘッドカウントの承認がないままに採用のプロセスを進めてしまい、いざ有力な候補者を採用しようとした時に採用出来なかったという事も外資ではあり得る話なので、選考を受けている候補者は正式なオファーレターが発行されてサインをするまでは、現職には転職活動をしている事を告げずにおきましょう。

大事な点なのでもう一度、退職の申し出はオファーレターにサインしてから!

2.採用部門への依頼

無事にヘッドカウントが承認された後は採用活動の開始です。Hiring Managerが採用の責任者とはいえ、実際に転職サイトへ求人情報の掲載をしたり人材紹介会社への依頼をするのは採用部門の仕事です。

Hiring Managerからは欲しい人材の具体的なリクエストがあり、それを基に採用部門のリクルーターが人材を集めるプロセスをスタートします。Hiring Managerは自分のチームメンバーや関連部署に新規採用をするので友人や元同僚の紹介をお願いをし、可能な限り早く人材が採用出来る様に主体的に動きます。

3.面接官の決定

Hiring Processを決める事もHiring Managerの重要な役割です。誰を面接官としてアサインし、面接を何回実施するか、何を重視し選考を行うかを決定していきます。通常は選考が進む程に自分が所属する部門の上のレベルへと面接官が継がれていきます。同じ部門ではないが業務上の関わりが深い社員や部門長が面接官として登場するケースもよくあります。

リクルーターは最初のスクリーニングを担当する場合が多く、採用の対象にならない候補者と可能性がありそうな候補者を振り分けてHiring Managerへと人材の推薦をします。

4.候補者の選定

採用する人材はHiring Managerにとって自分のスタッフとなる存在です。仕事で上げて欲しい成果や、どんな人材が活躍する事が出来るかを事前に整理し選考をスタートさせます。

採用部門より推薦された人材をまずは書類選考し、興味があれば対面もしくは電話での面接へと招待します。過去の経歴や実績をみて採用の可能性がありそうな候補者数名へと絞り、その先の面接へ進めるか判断を下します。

二次面接以降も面接官は自分と同じ部門の上役となりますので、基本的には欲しい人材像は同じなのですが、複数の人間の異なる視点からの面接を実施する事で精度を高めていきます。最終面接終了後は選考に関わった全ての面接官のフィードバックを集めミーティングを開き採用の可否を決定します。

5.オファー条件の決定

全ての選考を終了したら、採用部門と共に採用したい候補者へオファーする年俸を決定します。条件が決定した後に正式なオファーレターを発行する為に承認を取得します。日本国内もしくは本社承認かは会社により異なります。

ヘッドカウントの承認が事前に取れてさえいれば、オファーの承認を得る事はそこまでは難しくありません。ただし、予定していた予算よりオーバーした条件でオファーとなる場合は、承認に時間がかかったり、場合によっては本社から承認を拒否される事もあります。

6.入社までのフォローアップ

オファーを候補者が受諾した後は入社までのフォローアップも重要な役割です。中途採用の場合はオファー受諾から入社までに1〜2ヶ月かかるケースが多く、優秀な人材には他社からの誘いや現職からの引き止めがあったり、実際に入社するまでに様々な不安要素があります。

リクルーターも当然フォローはしますが、自分の部門で働いてもらう予定の人材となりますので、Hiring managerがチームの人間と引き合わせや、食事会の開催、入社までに勉強して欲しい事等の簡単な課題を与えたりしながら、コミュニケーションを絶やさない様にしています。

Hiring Managerとの相性が一番大事

自分のチームの採用の成否はHiring Managerの評価にも関わっています。優秀な人材を採用する事に成功し、入社後に活躍してもらう事が出来れば、部門の業績、パフォーマンスも向上し、結果として自分の評価も上がる事に繋がります。

Hiring Managerも組織の一員であると同時に一人の人間です。どんなに優秀な人材であっても自分が働きたくないと感じる相手を採用する事は少ないです。選考プロセスで登場するHiring Managerより役職が上の面接官やリクルーターの意見も取り入れますが、基本的にはHiring Managerが採用したい人材を決定します。

候補者も自分が直接レポートをする事になるHiring Managerと人間的に合うかという直感や、仕事の成果で何を一番重視するか等の入社後の評価に直結する事は面接の場でよく確認する必要があります。その上で一緒に働きたいと思える人物であり、仕事内容であれば自分が組織に貢献出来る人材である事を積極的に面接の中で伝えていきましょう。

以上、外資系企業の採用におけるHiring Managerの役割でした。

⬇️関連記事:入社後に会社で成功するかの鍵はHiring Managerとの相性です。転職してから後悔しない為に入社する前に可能な限り多くの情報を集めましょう⬇️

 

-選考

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事

オファーが外資系企業から出た時に確認する事、転職で後悔しない為に

オファーレターの内容をオファー面談で確認しよう こんにちは、外資元人事の豊(ゆたか)です。 複数回の面接、リファレンスチェック、バックグラウンドチェックまでの長い選考を終了し、企業が正式に採用したいと …

外資系企業の英語面接で誤解されがちな4つのポイント

中途採用における外資系企業の英語面接の真実 こんにちは、外資元人事の豊(ゆたか)です。外資系企業の選考で時に避けては通れない英語面接。友人や同僚が英語面接に落ちたという話を聞き、英語が得意でない為に外 …

外資系企業の選考が長引く5つの理由

面接後に連絡が来ない、これは外資系企業では選考に落ちたということ? こんにちは、外資元人事の豊(ゆたか)です。 外資系企業への転職を目指し採用選考を受ける方からよく相談を頂く不安な事として下記の2つが …

転職の面接で面接官(Hiring Manager)が高く評価する基本的なポイント4つ

外資系の面接を通過する為におさえておきたい4つのポイント こんにちは、外資元人事の豊(ゆたか)です。 転職活動を成功させる為に面接対策を実施している人も多いと思います。面接というとつい身構えてしまいが …

外資系と転職回数-何回まで大丈夫?

ジョブホッパーは嫌われるのは本当か こんにちは、外資元人事の豊(ゆたか)です。 最近は変わってきたと思いますが、日系企業への転職では年齢は35歳までとか、転職回数は1回までの人しか採用しないという話も …